日本語で読む、森の小さな童話

こひつじと
大きなおおかみ

森のはずれで出会った、小さなひつじと大きなおおかみ。怖さの向こう側にあったのは、意外な優しさでした。

🐑
🐺
もりの おくへ
STORY

森の約束

ゆっくりページをめくるように、お読みください。

むかしむかし、緑の森と青い空に囲まれた小さな村に、一匹のこひつじが住んでいました。名前は「ミル」。ミルは好奇心いっぱいで、毎朝、花の香りを追いかけながら草原を歩くのが大好きでした。

ある日の午後、ミルはいつもより遠くまで歩いてしまいました。気がつくと、太陽は山の向こうへ傾き、森には長い影が伸びています。

「どうしよう……帰り道がわからないよ。」

そのとき、木の向こうから「ザッ、ザッ」と大きな足音が聞こえました。現れたのは、森で一番大きなおおかみでした。ミルは足を震わせました。

けれど、おおかみはミルに近づくと、静かな声で言いました。

「そんなに怖がらなくていい。もう暗くなる。ひとりでは危ないぞ。」

ミルは少し迷いました。それでも、おおかみの目に嘘がないことに気づき、小さくうなずきました。

二匹は森の小道を歩きました。途中で強い風が吹き、ミルの赤いリボンが木の枝に引っかかりました。おおかみは大きな体をかがめ、そっとリボンを外してくれました。

やがて遠くに村の灯りが見えてきました。ミルは振り返り、初めて笑いました。

「ありがとう、おおかみさん。また会える?」

おおかみは少し照れながら答えました。「森は広い。でも、困ったときには声を出せ。聞こえたら、きっと行く。」

その夜から、森には不思議な噂が流れました。小さなひつじが森で迷うと、大きなおおかみが道案内をしてくれるのだ、と。

そしてミルは知りました。見た目だけでは、その人の心はわからないことを。大きな体の中に、とても温かな心が隠れていることもあるのです。

「怖いと思ったときこそ、相手の心を見る。」

森の木々は風に揺れ、月は静かに二匹を照らしていました。

CHARACTERS

登場人物

🐑

ミル

好奇心いっぱいのこひつじ。少し怖がりだけれど、困っている人を信じる勇気を持っています。

🐺

おおかみ

森で一番大きな体を持つおおかみ。見た目は怖そうですが、実は困っている動物を放っておけません。

🌲

ふしぎな森

物語の舞台。朝は明るく、夕方は金色に染まり、夜にはたくさんの星が見えます。

CHAPTERS

物語の三つの場面

1

迷子になった午後

いつもの草原を離れたミルは、森の奥で帰り道を見失います。

2

大きな足音

怖い足音の正体は、森で暮らす大きなおおかみでした。

3

森の約束

二匹は一緒に村へ向かい、見た目だけではわからない優しさを知ります。

AFTER THE STORY

物語のあとで

この童話から、あなたは何を感じましたか?

🌱 見た目だけで決めない

大きい、小さい、怖そう、優しそう。第一印象は大切ですが、それだけがすべてではありません。

🌙 助けを求める勇気

困ったときに「助けて」と声を出すことも立派な勇気です。ひとりで抱え込まなくてもいいのです。

🤝 小さな信頼

ミルとおおかみの物語は、ほんの小さな信頼から始まりました。

📖 もう一度読む

二度目に読むと、最初は気づかなかった表情や言葉が見つかるかもしれません。